LIMITED

平安とUNKO

タイトルびっくりしちゃった?私もびっくり。
こんなワードがブログのタイトルになるなんて、、、笑

知ってますか?UNKO MUSEUM !!!
Instagramでなにやら結構頻繁にあがってくるカラフルなUNKOと美女達。気になっていたらまさかのお誘いがあってさっそく行ってきたのです。

仕掛け人はアカツキライブエンターテインメントの小林将さん。日本にはエンタメが不足しているという事で、気軽に楽しめるエンタメ作りに選んだのが「うんこ」。もうこのワードを言うだけでなんだか楽しい気分になるんだけど?子供も大人も実は好きよねUNKO。世界観がすごいです。MAXウンコかわいい!がコンセプトだって。いや〜可愛い。



UNKOと言えば、平中の名で知られる平貞文(たいらのさだふん)ですよね。平中物語という歌物語の主人公で、第二の在原業平的な存在だった人です。数々の女性と恋に落ち色好みとして名の知れた貴公子です。和歌が好きで家柄の良いイケメン。女がみんな狙うハイスペってやつ。(ハイスペックの略です←説明入れるなら略すな)

今は昔、兵衛佐平貞文をば平中といふ。色好みにて、宮仕人はさらなり、人の女など、忍びて見ぬはなかりけり。思ひかけて文やる程の人の、なびかぬはなかりけるに

『宇治拾遺物語』18「平貞文、本院侍従の事」(校注・訳:小林保治・増古和子『新編日本古典文学全集』/小学館)より

詰まる所、
「俺、まじ、モテっから。」ってこと。

すみません勝手に現代風に略しちゃったけど、「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」ってことね。彼が思いをかけて手紙を贈れば、彼に全員なびいたって凄まじいモテスキル。

そしてそこに登場するのが、村上天皇の母后に仕えていた本院侍従という女性。この女性もまさかの平中と同じく色好みなのです。平中に思わせぶりな態度をとりながらも、平中からの手紙には返事をしないので、せめて「見た」とだけでも返事をくださいよ、と平中が本院侍従に手紙を贈ったところ、平中が書いたその手紙を破いて「見た」という二文字だけ書いて贈り返してきたようです。なにこの女子、やばくな〜い?マジ強気の駆け引き。

でもまあ、そんな事をなんやかんややっていたら、まさかの逢いたいという平中の願いが叶う時がきたのです。女童の手引きで侍従の部屋までたどりつき、ついに侍従に触れることができたのです。でも、侍従は「あちらの襖の錠をかけ忘れたので行ってきます」とか行って単衣に袴姿で出て行ってしまいます。

…そう、みなさまお察しの通り侍従の置き去りの刑が発動。
置き去りの刑とは、男子がクラブで「とりあえず乾杯一緒にしようよ〜」とナンパした後、女子にドリンクを買ってあげて、ちょっとしたら女子が「ちょっとトイレ行ってくるね〜」のやつです。平安の時代からあった手法だったんですよ。

平中はこの手法にまんまと引っ掛かり、
いよいよ悲しく情けなくなりこの恋を諦めようと決心するのです。

ここでようやくUNKOの話になってくるのですが、なぜUNKOかって、平中は嫌いになるために侍従のUNKOを盗むのです。嫌いになる為の努力の方角が異常者すぎてまじできもい。いくらイケメンでもまじ無理。

さて、中身はいかに。
便器の中身については『今昔物語集』のほうが詳細です。

平中其ノ筥ヲ見レバ、琴漆ヲ塗タリ。褁筥ノ体ヲ見ルニ、開ケム事モ糸々惜ク思エテ、内ハ不知ズ、先ヅ褁筥ノ体ノ人ノニモ不似ネバ、開テ見疎マム事ヲ糸惜クテ、暫不開デ守居タレドモ、「然リトテ有ラムヤハ」ト思テ、恐々ヅ筥ノ蓋ヲ開タレバ、丁字ノ香極ク早ウ聞エ、心モ不得ズ怪ク思テ、□筥ノ内ヲ臨ケバ、薄香ノ色シタル水半計入タリ。亦大指ノ大サ計ナル物ノ黄黒バミタルガ、長二三寸計ニテ三切計打丸カレテ入タリ。思フニ、「然ニコソハ有ラメ」ト思テ見ルニ、香ノ艶ズ香シキ黒方ノ香ニテ有リ。(後略)

『今昔物語集』巻第30「平定文本院の侍従を仮借する話第一」(校注・訳:馬淵和夫・国東文麿・稲垣泰一『新編日本古典文学全集』/小学館)より

奪ってきた便器には金漆が塗ってあり、
その美しさだけ見ても開けるのが嫌になった平中。
でも嫌いになるために頑張ってオーーーーーープン!

意を決して開けると、丁子(ちょうじ/ハーブのクローブにあたる香木)の香りが…中身は薄い黄色の水のほか、親指くらいの大きさの黄黒い色ものが三切ほど入っている。「うんこに違いない」と思うものの、めちゃくちゃ香ばしい香りがするではないか……!

なんとサイコ平中は、(※サイコ=サイコパス。説明するなら略すな)棒切れをUNKOに突き刺し嗅ぐのです(最高に無理)

UNKOmuseumでも棒を突き刺したUNKOを持たせられました。ちょっと加工でエモい感じのフィルターを。

棒切れをUNKOに突き刺し嗅いだ結果、なんと香るのは黒方(くろぼう/お香)でした。侍従がこういうことがあると見越して、練香などを排泄物に見立てて用意していたと気づいたのでした。


・・・え?この女も相当なメンヘラではないか。
(※メンヘラ=2ちゃんねるのメンタルヘルス板にいるような人間のことで、心に病気を患った人を指す。これはわかると思うけど一応貼っておく。)もうストーカーとかされてて、全部怖い!みたいになっちゃってない?ダイジョウブ?

でも結局サイコ平中は、メンヘラ侍従と結ばれる事はなかったそうです。

「ゆゆしげにし置きたらば、それに見飽きて心もや慰むとこそ思ひつれ。こはいかなる事ぞ。かく心ある人やはある。ただ人とも覚えぬ有様ども」と、いとど死ぬばかり思へど、かひなし。

『宇治拾遺物語』18「平貞文、本院侍従の事」(校注・訳:小林保治・増古和子『新編日本古典文学全集』/小学館)より

古くから、恋の駆け引きと、置き去りの刑はあったんですね。

よかったらYouTubeでうんこミュージアムの様子見てみてね♡

うんこミュージアム公式HP
https://unkomuseum.com/tokyo/

住所 ダイバーシティ東京 プラザ 2F
   東京都江東区青海1丁目1−10( 詳細マップ )
開館時間 10:00 〜 21:00※最終入場20:00